幸せをくれた君に
「それに娘の私から見ても、まだまだおじい様の足元にも及ばないわね」


美香のいうおじい様というのは、黒川物産の会長のことだ。


「手厳しいな」


世界広しといえども、黒川物産の専務をこきおろせるのは娘である彼女だけだろう。


「私は今、会長の秘書をしているのよ。おじい様は今年で80歳になるとは思えないぐらいのバイタリティに溢れているの」


そう話す彼女の顔は誇らしげだ。祖父である会長が誇らしいだけではなく、彼女自身からも、自信が満ち溢れているのが伝わってくる。


「俺は何一つ成長していないのに、君はずい分と変わったようだ」


「そんなことないわ。まだまだ成長途中よ、私も美馬さんも」


彼女は、そう言って微笑んだ。
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