幸せをくれた君に
頭を下げかけた俺を彼女は慌ててとめる。


「謝らないで!」


「けど、俺は君を……」


さらに続けようとした言葉は、彼女の人差し指が俺の唇に触れた感触とともに消え失せる。


「謝らないでよ。私は今日会うのが、貴方だって知ってから、私の心は平穏じゃいられなかったわ」


美香は、真っすぐに俺を見つめてくる。


「あの後、友達から聞いたわ。美馬さんは神崎さんと付き合っているそうね?」


「……っ」


俺の心臓がドクンと波打つ。


「彼女は貴方が、あの夜、私と寝たことを知っているの?そして、私を一度で捨てるような男だと知っているの?」


美香は、意味ありげに微笑んだ。 


「ねぇ、美馬さん。私と契約しましょう?」


彼女の人差し指が俺の手をなぞる。


俺は、その時にようやく気づいたのだ。


彼女の目的に。




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