jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「そんなに、志音と会えないのが寂しいか? 千砂兎とも・・・・・・」
「そ・・・・・・そりゃ、仲良しだし・・・・・・」
「蕾には、俺に似た悪魔があと2人もいるんだ。自由は与えてあげられても、嫉妬だけは消せない。募る一方だよ」
そう言うと、わたしの首筋に顔を埋めた。
チリっとした痛みに襲われ、キスマークを入れられたことを悟った。
人に見えるような部分に、堂々とマーキングされたのは、久々のことだった。
「どうして? そんな・・・・・・こんなところで・・・・・・」
香さんはお得意の悪戯な笑みを浮かべながら、耳元で囁いてきた。
「嫌な予感がするんだ。だけど、蕾にとっては嬉しいかもしれないね」
(何かを知っているの?)
答えを要求している表情を読み取ったのか、香さんは砂糖を焦がしたような子細顔をした。
「僕が心配していたのは、僕自身をさ。蕾はいずれ元気になる。そうしたら、またジェラシーが僕の体内で爆走しそうだからね。ドロドロとマグマのように・・・・・・。そんな自分が怖くなっちゃった」
お茶目に笑う香さんだったが、その裏には莫大なエネルギーが貯蓄されているんだろう。
「よく分からないけど・・・・・・。わたし、香さんのお嫁さんだよ」
「そうだね。分かっているよ」
嫁という言葉のおかげで、香さんは、徐々に落ち着きを取り戻してきたようだ。
腕の中の真論を見ると、目を覚ましていたらしく、やはり、白けたような目でわたしたちを見ていた。
わたしはたまに願うのだ、この子だけは、父をも凌ぐ最強の悪魔体質にならないようにと・・・・・・。
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