jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
志音は渋面を作りながらも、仕方なさそうにその重たすぎる口を開いた。
「聞かない方が蕾のためだと思うが・・・・・・。わたしたちが揉めて、離れ離れになった日のことだ。簡単に説明する。蕾は、わたしの相手が、タチかネコかを聞いてきた。わたしはネコだと言ったが、本当はタチの人と出会っていた。ただ、それだけのこと」
あのときの情念が、悉くフラッシュバックしてきた。
涙の味も温度も完璧に思い出してしまったわたしは、余分なことまで記録してしまう、落ちこぼれの精密機械のようだった。
シオンハ、ワタシニウソヲツイタ・・・・・・。
「どうして・・・・・・?」
志音は、わたしの頬に伝う血涙を愛おしそうに拭った。
指輪が皮膚にゴツゴツ当たった。
「あのとき、蕾はまだ香さんのことが好きだと感じた。それに、幸せにしてあげる自信がなかった」
志音は、わたしのために嘘をついた。
だけど、それは本当にわたしのためなんだろうか?
「志音の嘘つき・・・・・・わたしは本気だったのに・・・・・・」
志音の指が戸惑うぐらい、大量の涙が流れた。
一瞬、志音が小さな溜息を付いたような気がした。
「・・・・・・これも嘘だと言ったら、どうする?」
「へっ!?」
「これが本当だと言ったら、蕾は更にわたしに惚れてしまうだろう。だから、コントロールだ」
この秘密事は真実だ。
志音は、ずっとわたしだけを愛していた。
「聞かない方が蕾のためだと思うが・・・・・・。わたしたちが揉めて、離れ離れになった日のことだ。簡単に説明する。蕾は、わたしの相手が、タチかネコかを聞いてきた。わたしはネコだと言ったが、本当はタチの人と出会っていた。ただ、それだけのこと」
あのときの情念が、悉くフラッシュバックしてきた。
涙の味も温度も完璧に思い出してしまったわたしは、余分なことまで記録してしまう、落ちこぼれの精密機械のようだった。
シオンハ、ワタシニウソヲツイタ・・・・・・。
「どうして・・・・・・?」
志音は、わたしの頬に伝う血涙を愛おしそうに拭った。
指輪が皮膚にゴツゴツ当たった。
「あのとき、蕾はまだ香さんのことが好きだと感じた。それに、幸せにしてあげる自信がなかった」
志音は、わたしのために嘘をついた。
だけど、それは本当にわたしのためなんだろうか?
「志音の嘘つき・・・・・・わたしは本気だったのに・・・・・・」
志音の指が戸惑うぐらい、大量の涙が流れた。
一瞬、志音が小さな溜息を付いたような気がした。
「・・・・・・これも嘘だと言ったら、どうする?」
「へっ!?」
「これが本当だと言ったら、蕾は更にわたしに惚れてしまうだろう。だから、コントロールだ」
この秘密事は真実だ。
志音は、ずっとわたしだけを愛していた。