プリーズ・イート・ミー
ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。
そんなこと急に言われても、わたし達にだって仕事はあるわけで。
てかA店って結構遠い。ここから1時間以上はかかる。
うわ、帰り何時になっちゃうんだろう。
というか今日はクリスマスイブなんですけど!

独身の女性社員に対して、『もしかして予定でも入ってるんじゃないか?』とかさ、そういう配慮……

チラッと桐谷さんの目を盗み見る。

なんて、あるわけないデスヨネー…ははっ。(まぁ実際、わたしには何の予定もないわけですし)

などと頭の中でアレコレ考えているうちに嫌なことを思い出した。


「そういえば、たしかあれのバイトの子達って、サンタのコスプレするんじゃなかったでしたっけ? しかも、ミニスカートで」

「ああ、そうだな。それが?」


何か不都合でも? そんな感じで腕を組みわたしを見下ろす桐谷さん。


「杏里ちゃ……いえ、戸田さんはともかく。わたしはどうでしょう? 年齢的にヤバいんじゃないですか? もっと若い子に頼んだ方が……」


そんな自虐的なことを言うわたしに、桐谷さんは不敵な笑みを浮かべた。


「そうだな……。お前が着ると痛いかもな。でも、ま、ギリ大丈夫なんじゃないか? ギリだけどな」

“ギリ”ってとこだけ嫌味なほど強調して言う。

「はぁああ? ギリってなんですか? ギリって!」


そもそも年齢的にヤバいとか言い出したのは、他でもないこのわたしだ。
だけど、桐谷さんにそんな風に言われると、なんかムカツク。

カチャンと音を立て、手にしていたナイフとフォークとお皿に置くと、わたしはスクッと立ち上がった。

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