プリーズ・イート・ミー
コクンと頷く杏里ちゃん。


「奈々子さんの本心はあたしにはわからないけど。でも、ここぞって時には素直にならないと、幸せ逃しちゃいますよ? プライドなんて女にとったら足かせにしかならないこともあるんだから」


まるで恋愛アドバイザーみたいなことを言う。
この子がどういう恋愛してきたのか、ちょっと興味がわいてきたりして。


「ヤバっ、もう行かなきゃ」


壁にかかっていた時計を確認した杏里ちゃんは、突然慌てだすと、そこらに散らばっていた荷物をかき集めて、カバンに詰め込んでいく。


「あ……そうだ。これ、食べます?」


杏里ちゃんが手にしているのは袋入りのマシュマロ。


「さっき、お菓子売り場の社員さんからいただいたんですよー。はい、あーん」


ついつられて口をあけたら、マシュマロが放り込まれてきた。


「じゃ。お先です。お疲れ様でしたー」


杏里ちゃんは大きなカバンを肩に下げると、更衣室を出て行ってしまった。

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