プリーズ・イート・ミー
「お前、コートはどうしたんだよ? 上から羽織ってきたらよかったのに」

「はうっ」


そうだ。そうすればよかったんだ。コートを着れば、この恥ずかしいコスプレも隠せたはずなのに……。


「忘れてた。コート、ロッカーに入れたままだ……」

「ほんと、お前はどっか抜けてるな。どうする? 車でとりに戻るか?」

「いえ……も、いいです。明日、自分でいきます」


いくらなんでもそこまで甘えるわけにはいかない。


「そか。じゃ、どーぞ。サンタさん」


くくっと、まだ含み笑いしながら、桐谷さんは助手席のドアを開けてくれた。


わたしはまだちょっと不機嫌だったけど、「ありがとうございます」と頭を下げ、車に乗り込んだ。

車内は暖房がついていて、暖かかった。


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