月の絆~最初で最後の運命のあなた~


「先に車を回してくるから、ゆっくり出ておいで」


 手を離して立ち上がり、忍び寄る切なさに、離したその手でマリアの頬を撫でる。


「どうしたの、狼呀?」


「いや、ただ……逃げるなよ」


「失礼ね! 約束は守るほうなのに」


 ぴしゃりと手を叩かれて、思わず狼呀の顔から笑みが零れた。


 マリアは気づいていないかもしれないけれど、気安い言い合いと戯れも親愛の行動の一つだ。


 悪くない始まりに、狼呀は嬉々として店を出た。




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