月の絆~最初で最後の運命のあなた~
狼呀の知る女たちは、平気で人を待たせて焦りも急ぎもしないで、見た目を気にして歩いてくる。
考えただけでも、マリアは他の女たちとは違う。
露出の多い服は着ないし、男に媚びた行動もせず、物をねだる事も狼呀をまるで高級品かアクセサリーのように、見せびらかすために連れ歩くこともない。
もっとも、まだ好意すら向けてきていないし、どちらかと言えば嫌っている。
それなのに――。
「ごめんなさい、待った?」
助手席のドアを開けて乗り込むと、狼呀の目を見てそう言った。
(こんな伴侶で、俺は幸せだ)
たとえ嫌っている相手でも、人を気遣える心に狼呀は笑みを溢した。
「いいや、車を停めたばかりだよ」
「そ……そう、なら良かった」
マリアは驚いた顔をしたけど、すぐに顔を反らしてドアを閉めて、シートベルトをつけはじめた。