月の絆~最初で最後の運命のあなた~
瑞季の隣で観察したり、モデルの女たちに誘われた飲み会などで狼呀は知ったが、女はメニューを決めるのに時間がかかる。
時には、男受けする食べ物や飲み物を、好きでもないのに注文するような女を何度か見たこともある。
そのたびに、相手に対する興味すらなくなったほどだ。
「ケーキセット。飲み物はホットコーヒーで、ケーキは……チョコのやつ」
あっさりと決めてメニューを返してくるマリアに、狼呀は目を丸くした。
「どうしたの? 品切れ中とか?」
「いや、あるはずだ。座って……少し待っててくれ」
不思議そうな顔をしたまま、マリアは素直にソファーに座った。
車の中で見せた不安や恐怖はない。
あるのは狼呀への心配だけ。
それを見届けてから、狼呀は聖呀のいるカウンターに向かった。