月の絆~最初で最後の運命のあなた~



[三]


「まったく、今の男はなんなの!」


 男が見えない場所まで行って、あたしは呟いた。


 がっしりとした体型で、見上げるほどの大男。


 手が引き抜いて、頬を叩けたのは奇跡のようなものだ。


 辺りが暗い事もあって、恐怖でいっぱいになったが、自動販売機の明かりに照らされた顔を見た瞬間、足が蕩けそうになった。


 変な男だったけど顔は端正で、なによりも白銀の髪と満月を連想させる琥珀色の瞳が素晴らしい。


「痴漢野郎だけど、似合ってたのが腹立たしい」


 ヘアカラーやカラーコンタクトも、似合わない奴がやっても決まらないが、申し分ない人物だったなと夜空を見上げようとして、あたしの目は途中で釘付けになった。


「これって……さっきの男?」


 目の前にあったのは、洋服ブランドの看板。


 ネルシャツの袖を捲り、色ちがいの服を着た女性モデルの腰に後ろから腕を回し、本物の恋人にするように抱きしめてる。


 なぜか、胸の奥がチクリと痛んだ。


 さっき、出会った瞬間に最悪だと思った相手にどうして?


 無理やり視線を引き剥がし、あたしは歩き出した。




 
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