月の絆~最初で最後の運命のあなた~
すでに駐車場にはマリアが来ており、人気のコーヒー店のロゴが入った紙カップを手に立っている。
狼呀はすぐに車を停めると、エンジンを切らずに車から飛び出し、マリアに駆け寄った。
「悪い、待たせたか?」
「平気。いま着いたばっかりだし、モカも美味しいし。これは、あなたの分」
マリアは、柔らかく笑うと紙カップを差し出してきた。
匂いですぐわかる。
(コーヒー。それも、ブラックだ)
昨日のカフェの時に、狼呀の好みを見ていたという事実に、有頂天になりそうだったが、気になることがあった。
(いま着いたばかり?)
でも、髪から覗く耳と、マフラーに埋めていた鼻が赤いのに狼呀は気づいた。
「少しだけなら、そんなに鼻が赤くなる事はないだろ」
「あるでしょ。もう十二月なんだから」
頑固なマリアが可愛くて、とにかく触れたくなった狼呀は、頬に手を伸ばし――。