月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「そこは怒るところじゃないぞ。最高じゃないか!」


 予想外な事に、狼呀はとても嬉しそうな顔をしていた。


「なにが最高なのよ!」


 訳が分からない。


「マリアの考えたことが見えたって事は、やっぱり間違いなく伴侶の絆があるってことだ」


 無意識に狼呀の胸に置いたままだった手に、彼は指を絡めてきた。


「マリアにも分かっただろ?」


 あたしは目を反らした。


 分かってしまったから。


 狼呀に好意を少なからず抱いていること、そして――言い表すのが困難な繋がりを感じていることに。





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