月の絆~最初で最後の運命のあなた~
認めたくなくて黙っていると、彼はあたしの指先に口づけてから、車のドアを開けて引っ張った。
ベットに運んでくれたレンが、靴を脱がさないでいてくれてよかったと思わずにいられない。
「どこか行きたいところは?」
唐突に助手席に向かいながら、あたしの手を引く狼呀は言った。
「どれくらいの距離までのこと?」
「どこでもいい」
そう言って、あたしを助手席に座らせるとドアをしめた。
正直、どこでもいいっていうのは、一番困ったりする。範囲を限定してくれれば、もっと楽に決められるのに。
あたしは頭の中で、行きたい場所を思い浮かべた。