月の絆~最初で最後の運命のあなた~
いつもどおりレンが寄越した迎えの車に乗り、まっすぐレンの自宅兼仕事場のビルに向かう。
そこからはもう慣れているから、一人で血液銀行の一室に入った。
もちろん、ノックなんてしない。
レンは、匂いで誰が来たのか分かってるはずだから。
「おはよう、マリア。今日の気分はどうかな?」
「最悪よ。じゃなきゃ、朝一番に会いたいなんて……あたしから言わないでしょ?」
「まあ、そうだね。それで、用件は?」
レンは肩をすくめると、ソファーに座るように促した。
彼の専用部屋であるためか、趣味のいい壁紙や家具で落ち着く場所になっている。