月の絆~最初で最後の運命のあなた~
でも、今日は座って落ち着いて話すなんて出来ない。
あたしが首を横に振って机に寄りかかるように軽く座ると、何かを感じ取ったのかレンは小鼻を膨らませた。
「血の匂いがするね。マリアのと、もう一つは……君のお兄さんのかな?」
「ええ。その事で話があるの。前に頼んだ調査って終わった?」
いつかマンションの屋上で、あたしを助けたレンとした約束。
血を提供する代わりに、悩みの種だったある一家を調べてほしいと頼んだ。
「終わっているよ」
「……聞かせて」
レンは、机の中から茶色の封筒を取り出した。