月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「本当に聞きたいんだね?」
「ええ、そうよ。もう……終わりにしたいの」
少し考える素振りを見せてから、レンは封筒の中から紙の束を取り出した。
「男の名前は、家村尚人。妻と小学生の子供がいる」
「どういう見た目なの?」
「坊主頭で目は鋭い。だけど見た感じ、接触した感じは、いい人間に見える……が、明らかに善人面した悪人だね。腐敗したような匂いがした」
一度だけ、あたしも見た事がある。
言うこと、物腰は悪くないように見えたけど、あたしの中にある人を判断する不思議な部分が、そいつを悪だと判断した。
あれは、間違いではなかった。
でも、あの時ではもう遅い。