月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「もしもし」
「ああ、やっと出たか。皆が心配してるぞ。今……どこにいる?」
電話の相手は、瑞季だった。
「マリアの所だ」
「マリアちゃん? あー、おまえの伴侶か」
「そうだ。悪いんだが、一つ頼みがある」
「なんだ?」
「今から二時間くらいの間に、空いている部屋を……マリアが住めるように整えてくれないか?」
もう、マリアを自分の目が届かない場所で、暮らさせる気はない。
まだ心の準備が出来ていなかろうが、狼呀は来る途中でそう決めた。