月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「ところで、ちょっと聞いていいか?」


「なんだ? 内容によっては、答えないぞ」


「いやー、あの性的欲求を高めちまう彼女……お前の伴侶だろ?」


「ああ」


「なんで一緒にいない?」


 狼呀は一瞬、黙った。


 質問されるのは、当たり前だ。


 伴侶への思いが、一番強くなるのはアルファである人狼だ。


「……マリアの準備が整っていない」


 ため息と共に呟いた。


 それは心、体の全ての事。


 特にマリアは、心の準備が整っていない。


 さっきみたいな事は、狼呀にとって準備が整っているとは言えない。


「お前も苦労するな。でも、あんまり待ちすぎるなよ?」


「わかってる」


 絆は、心を繋げた後に体を繋げる事で完成する。


 それが済んでいないと不安定になり、アルファの地位を危うくするだろう。アルファの不安定さは、一族全体を不安定にさせる。


 そうした不安定さは、他の人狼に入り込む隙を与え、新たなアルファになろうと考える者を生む。もしも争いが起これば一族が大きな被害を受ける。


「お前はさ、相手の事を考えすぎなんだよ」


 新たに来た人狼を誘導しながら、瑞季はあきれたように呟いた。




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