月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「でも、見かけほど酷くはなさそう。アロエの薬を塗るから、少ししみるかもしれないけど我慢してね」
大丈夫だと思った。
これだけ傷があるのに、消毒液がそこまで痛まなかったから。
でも、甘かった。
絢華さんの指が触れて、薬を塗り広げられると、あたしは悲鳴を上げた。
「痛い! さっきまで平気だったのに、なんで!?」
「効いてる証拠よ。あとは薬が取れないようにガーゼを貼るね。ちょっと、痛々しい見た目になるけど、すぐよくなるから」
絢華さんは、慣れた手つきで体に手早くガーゼをテープでとめてくれる。
「はい、できた。これでいいかな?」
「あの……色々すみません」
「あら、気にしないで」
広げてくれたのは、ゆったりとしたボアパーカーだった。
袖を通すと、腕と背中を柔らかい素材が優しく包んでくれる。