月の絆~最初で最後の運命のあなた~
なんだか落ち着く匂いまでする。
土と森の匂いで、柔軟剤の香りではない。
どこか狼呀の匂いに似ている。
もしかして、狼呀と同じ種族の人だったり――。
そんな考えが頭に浮かんだ。
でも、そんな訳がない。
ステーキハウス 〈バイソン〉に行った時、狼呀に対してだけ絢華さんは嫌そうな態度だった。
もしも同じなら、あの日……足止めしてまでわざわざ付き合わない方がいいなんて言わないはず。
それに、狼呀と同じ種族なら満月を迎える準備に入ると思う。
解決しない疑問を胸に、あたしはクリームシチューを口に運んだ。