月の絆~最初で最後の運命のあなた~





 それでも、リラックスなんて出来ない。


「あら、この子がそうなの?」


 机に影ができ、興味を隠そうともしない口調に、あたしは顔を上げた。


 横に立っていたのは、淡い茶色の髪を結んで肩にたらし、少し丸みのある顔をした四十代の女性。


 手にはピザとフライドチキンのバスケットを 持っている。


 口調と同じくらい、薄褐色の瞳には好奇心が浮かんでいる。


「やっぱり似てるわね」


「あの……」


 初めて会った人に、そう言われてあたしは戸惑った。


 それに、誰と比べているのだろう?


 戸惑うあたしに気づいて、絢華さんは食事を受け取りながら笑った。




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