月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「自己紹介もしないのにそんな事言われたら、彼女が驚くでしょ?」
「ああ、そうよね。ごめんなさい」
「まったく。マリア、彼女はアルモニー。アルモニー、彼女はマリアよ」
「アニーと呼んでちょうだい。会えて良かったわ」
「ありがとうございます、アニー」
アニーは、あたしの肩に軽く触れてから、キッチンのほうへと向かって行った。
「ねえ、絢華さん。あのアニーって人が言ってたのって何? あたしが誰に似てるの?」
「あー、その事は後ね。とにかく、まずは食べよう」
何か引っかかるものを感じたけど、食事が終わるまで質問に答えてくれる気はなさそうだ。
あたし自身、さらに増えた料理が美味しそうすぎて我慢ができない。
話なんて後でいい。
ピザに手を伸ばし、一口かじる。
サクサクの生地に、コーンと照り焼きチキン、チーズがのっている。
その上に、甘いタレがかかっていて、それがまた美味しい。
もう、周りの視線は気にならなくなっていた。
美味しすぎて、どんどん手が進む。
でも、喉が乾いてきて、飲み物を頼もうと顔を上げようとしたら、目の前にコップが置かれて目を瞬かせた。
すると、突然のざわめきがあたしの耳に届いた。