月の絆~最初で最後の運命のあなた~
アニーが気づいて、飲み物を持ってきてくれたのかと思ったけど、机に伸びる影や気配、匂いがあきらかに違う。
ひれ伏したくなるというか、恐怖とは違う意味で視線をコップから上げられない。
「ありがとう、冬呀」
気配だけで、絢華さんが椅子を運んできたのが分かる。
「マリア、彼は冬呀よ」
紹介されてしまっては、無視する訳にはいかない。
「はじめまして、あたしは」
ゆっくりと顔を上げて、あたしは言葉を失った。