月の絆~最初で最後の運命のあなた~
灰色の髪に、薄い青と琥珀色の左右異なる色の瞳。
緊張や警戒心が生まれるかと思ったけど、厳しくもあり、優しさも秘めた視線に、自然と心の扉は開いた。というより、はじめから彼との間に扉なんてなかったのかもしれない。
「あたしは、マリアです」
「やあ、マリア。絢華から聞いたけど、傷は大丈夫か?」
「見た目ほどじゃないんです」
「それなら良かった。ゆっくりしてくといい。ただ、明日は時間をもらえるかな?」
「あ……はい」
冬呀は立ち上がると、絢華さんの頭を撫でて行ってしまった。
歩き方、少しの動作にも隙がない。
「あの人って、何者?」
「冬呀? うーん、説明は難しいけど……リーダーみたいな感じかな」
「リーダー?」
聞き慣れない言葉に、あたしは首を傾げた。
何かの集まり?
それとも、ギャングとか不良?
でも、そんな感じの嫌なものではない気がする。