月の絆~最初で最後の運命のあなた~


「どうして、あたしたちが……あの子に何かしなくちゃいけないのよ」


 少し強気に出た態度に、横で瑞季が口笛を吹いた。


「認めて話すなら、今だぞ?」


「だから、何の事よ!」


 二人は狼呀を押し退けて、部屋を出て行こうと試みた。


 そう簡単にはいかない。


 気が強い赤毛のエレンを狼呀が捕まえ、金髪でエレンとレイラの後ろをついて回っていたソーニャを瑞季が捕まえた。


「お前たちは、アルファである俺に楯突いた。何より悪いことが何かわかるか?」


 怒りのままに牙をのぞかせ、掴んでいる喉に爪を食い込ませる。


「俺の伴侶に手を出したことだ」


 ここまでのことをしたのは、生まれてはじめてのことだ。


 今まで、アルファらしく接してこなかった。


 ある意味、狼呀にも責任がある。




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