月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 アルファらしい気持ちのままエレベーターに乗り、扉が閉まった瞬間に狼呀は、マリアの伴侶でしかない男に戻った。


 心配でたまらない。


 狼呀は噂でしか知らないが、縄張りに入った者を、例え知らないで入ったとしても殺すと言われる狼シフター。


 そこにマリアがいると思うだけで、息が苦しくなる。


「大丈夫さ、狼。彼女は普通とは違う」


 瑞季の言葉に、狼呀は頷いた。


 こんな時は、人狼同士の繋がりは頼もしい。


「ああ、マリアなら大丈夫だ」


 少しでも本当になるように、狼呀は呟いた。


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