月の絆~最初で最後の運命のあなた~
[三]
遠吠えが聞こえた。
というより、あたしが寝付けないでいると、まるで子守唄みたいにずっと聞こえていた。
それが心地いい。
見知らぬ土地にいる不安も、不思議な気分になる疑問も、どうでもよくなってくる。
そうして耳を傾けているうちに、朝になるまでぐっすりと眠っていた。
物音がした気がして目を開けると、遠慮がちに扉がノックされ、あたしは体を起こした。
「マリア? 起きてる?」
扉が開き、顔を覗かせた絢華さんは、ほっとしたような顔をしている。
「おはようございます、絢華さん」
「おはよう。よく眠れた?」
「はい。自分でも驚くくらい」
「なら良かった。そろそろ、冬呀の所に行こうと思うんだけど、大丈夫?」
あたしは、ベットから足を出して、床に着けると力を入れて立ち上がった。
昨日の痛みを待ったけど、それほどでもなくて、ほっとした。
「大丈夫です。これくらいなら歩けるんで、行きましょう」
洗面所で顔を洗うだけの時間をもらってから、一緒に下りる。
台所には、昨日は出会わなかった人がいた。