月の絆~最初で最後の運命のあなた~
部屋の中には、メーク道具の並べられたテーブルと大きな鏡があり、真っ赤なソファーの前にあるテーブルにはノートパソコンと雑誌が並び、小さな冷蔵庫まである。
長時間いても、あたしが飽きない要素がたっぷりだ。
「想像してたより、1人でも大丈夫そう」
「よかった。すぐに撮影なんだけど、少し1人で落ち着きたければ僕は席を外すよ」
考えてみたら、あたしにとって直接レンに血を吸われるのは、初めての体験だ。
それなりに、気を使ってくれているらしい。
しかし、心配は無用だ。
あたしは、それほど緊張してない。
「平気。どこに座ればいい?」
「じゃあ、ソファーに」
そう言って、レンはソファーに座る。
続いてあたしも横に座ろうとしたら、手を掴まれて戸惑った。
「ど……どうしたの?」