月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「座るのは横じゃなくて……僕の膝に跨がって座ってくれる?」
「なっ、何で!?」
「そのほうが僕も吸いやすいし、マリアも楽だと思うよ」
にっこりと微笑まれて、返す言葉が見つからない。
異性との関係をもったことのないあたしにとっては、とてもじゃないけど恥ずかしい。
なのに、相手にいやらしい素振りがないからなのか、レンの持つ魅了の1つなのか納得してしまった。
あたしは、レンの肩に両手を置くと、恐る恐る跨がる。
「それじゃあ、リラックスして」
Tシャツ越しでも分かる冷たい手が腰に触れ、少し引き寄せられる。
顔が近すぎて顔が熱くなると、レンに優しく頬を撫でられ、冷たさを余計に意識した。
「最初に少し舐めるから、痛みはないと思う。いいかな?」
「説明はいいから、さっさとやって!」
優しいのはありがたいけれど、生々しく説明されたら緊張感が高まる。
あたしはぎゅっと目を瞑り、レンの肩をつかんだ。