月の絆~最初で最後の運命のあなた~
[3]
「マリア……マリア」
何度も何度も髪を撫でられて、ゆっくりとあたしは目を覚ました。
頭の下には固いが、高さのちょうどいいものがある。
「目が覚めたかい? 15分くらい寝てたよ」
覗き込むように見られて、頭の下にあるのがレンの太ももだという事を理解した。
まさかの膝枕?
恥ずかしくなって慌てて体を起こそうとしたけど、彼に肩を押されて戻される。
あたしは観念して頭を預けた。
吸血鬼の力に抗おうとするなんて、体力の無駄遣いだ。
「ごめんなさい。撮影は?」
「見ての通りだよ」
視線を向けると、少し恥ずかしくなる。
髪は濡れて、胸元が少し空いたバスローブという姿が、こんなにも色っぽくあたしの目には映るなんて思いもしなかった。
反則と言ってもいい。