月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 ――パートナー。


 その言葉に、狼呀の心臓は粉々に砕けそうだった。


 自分の伴侶が他の男と――。


 誰かと寄り添う姿など見たくない。ましてや体を重ねるなんて考えただけで、相手の男を痛めつけてやりたくなる。


「どうかしたの? いきなり黙ったりして」


 マリアは心配そうな顔で、俯く狼呀の顔を覗き込んできた。


 彼女は優しい。


 だが、彼女は自分のモノじゃない。


 本能が怒りのままに表へと出てきそうになった時、嗅ぎたくない匂いが漂ってきた。





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