女神の災難な休日


「大丈夫ですか?子供さんは?」

 窓から女性が顔を突っ込んで聞いてくれるのに、ハッとした。そうだ、雅坊!後を覗き込むと、何と彼は目覚めていた。だけど、寝起きでよく判らずぼーっとしているらしい。澄んだ目で周囲を見回している。

「・・・雅、大丈夫?」

 私が声をかけると、パッと頭を傾げた。そして目があうと、にっこりと可愛く笑う。

「かーちゃ」

 はーいいいいいいいいいい!何かなあああああ~??

 その笑顔だけで、疲れが一気に吹き飛ぶようだった。・・・・ああ、本当に良かった。今更ながら、よく二人とも無事だった・・・あの衝撃で、もしかしたら打ち身とかなってるかもだけど――――――――――

 ずるずるともたれ込んで、私はあはははと笑う。いやあ・・・強烈な体験だった・・・。

 そして今更ながらにやってきた強烈な車酔いに、おええええ~・・・となったのだった。



 その後、警察がやってきて、バカ野郎は即逮捕となった。私が働いた暴行では救急車を呼ぶほどではなかったらしく(残念だ)、そのままパトカーに乗って行ってしまった。ちなみに、ぐるんぐるんと暴走した我が家の車による怪我人は一人もおらず。驚いてこけてしまったおばあさんは一人で立ち上がり、面白いものを見たと笑って去って行ったらしい。

 ま、とりあえず誰も怪我しなくてよかった。本当にやれやれだ。


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