女神の災難な休日
翌朝。
今日は早番で職場に入る、その前に夫の実家へ雅坊を預けに行くために早起きをして、私は一人で家の中を走り回っていた。
「おはよう、まり」
そこへ夫が起きてきた。私は口にパンを突っ込みながら、雅坊の着替えやらお菓子やらを小さなバックに突っ込む。ちらりと彼を見て、おざなりに微笑んだ。
「おはよ。ちょっと急ぐから、悪いけど朝食はセルフでお願い」
「はいよ」
返事だけをして彼は洗面所へ行く。こういう時、一人暮らしが長い男は便利でいい、そう思いつつコーヒーを飲みながら眉毛を描いていたら、タオルで顔を拭きながら戻ってきた彼が言った。
「昨日の夜、えらく寝言で悲鳴あげてたけど、大丈夫か?買い物で何かあった?」
・・・・おっとお!!動揺した私は思わず眉墨を真横にぐいーんと引いてしまう。彼に見えないように激しく瞬きをして気持ちを落ち着けてから、上出来な普通の声で答えた。
「―――――――あ、そう?悪夢みたのかしらね、なんせ今日から戦争状態の売り場にいくわけだし。・・・何か言ってた、私?」
化粧に集中していますを装って彼を振り返らなかった。だけど、彼は別になんとも思わなかったらしい。自分でトーストを焼いてコーヒーを作りながら話している。