女神の災難な休日


「罵り声が多かったかな・・・。バカ野郎!とか。俺が言われてるのかと思って寝室見に行ったくらい、ハッキリ言ってたぞ」

「・・・そ、そうですか。でも、あの、えーと、あなたのことではないと思うわ」

「うん、そうであって欲しいけど。あ、これも。早く出ていけ!とか」

「・・・へえ」

「あとは――――――・・・あ、そんなものこっちに向けるな!とか」

「・・・ふーん」

 無駄にバタンバタンと音を立てながらコンパクトの蓋を閉める。その音で彼の言葉を消したいくらいだった。

「どんな夢見てたんだろうな?起こそうかと思うくらい苦しんでた」

「・・・ほんと、どーんな夢見てたのかしらねえ~・・・」

 冷や汗がダラダラ出るような感じで、とにかく化粧を終わらせた。

「さあ、雅坊を起こしてこなきゃ!」

 夫がテレビをつけて朝食を取りはじめる。私は動揺を隠したままで息子を起こしにすっ飛んでいった。

 いやあ、危ない危ない。私ったら何て正直に全部口に出してたのかしら。もう、本当に!

 寝ぼけてふにゃふにゃの息子を何とか着替えさせて、自分の荷物と息子の荷物を持つ。職場は近いけど、先に隣町の彼の実家まで自転車で息子を連れて行かねばならない。


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