ストロベリー・キス

だってそうでしょ。プロポーズは付き合っている恋人同士がすることじゃないの?

その前に私たちは、お互いに“好き”という意思の疎通を図ってないわけで。

それに徹兄は、『結婚も考えてる女性と、一緒に暮らしたい』って言ってたんじゃ……。

……ってその結婚したい女性って、まさか……私?

うそうそ、あり得ない。だって徹兄、一度だって私にそんな素振り見せたことなかったじゃない。

私のことを好きになった場所でプロポーズ!?

ということは、もう二十年以上前から私のことが好きだったってこと?

だったらなんでもっと早く、私に告白してくれなかったのよっ!!

「徹兄のバカ……」

「はぁ!? なんでここで、バカなんて言葉が返ってくるんだよ」

「バカだからバカって言ってんのよっ!! このバカ!!」

本当は嬉しいのに、徹兄という存在の距離が近すぎて素直になれない。

「まだ付き合ってもいないのに、どうしてプロポーズ? 私の気持ち、考えてことあるの?」

「美玖の気持ち? そんなの前から知ってるよ。俺のことが好きで好きでたまらないんだろ?」

「そういうことを言ってるんじゃなくてっ!!」

「何? まさか他に好きな奴がいるとか?」

「いるわけないじゃないっ!! 私はずっとずっと徹兄のことだけを好きでいたんだから」

とうとう言ってしまった。それも大勢の子供たちがいる前で。

「美玖先生、この人が好きなの?」

ムチャクチャ恥ずかしいんですけど……。
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