ストロベリー・キス

「じゃあ園長先生。美玖は俺がもらっていきますので」

「はいはい。ホントあなたは、子供の頃から変わってないわね。面倒かけられっぱなし」

そう言う園長先生の顔は嬉しそうで、よくわからないけれど祝福されてる?

それに、もらっていきますってどういうこと? 私はこのあと、どこかに連れて行かれるの?

そしてその予感は見事的中し、徹兄に腕を掴まれるとそのまま抱き寄せられ、園児の前で見事お姫様抱っこをされてしまった。

「キャー!! サンタさんが、美玖先生を抱っこしてる~」

「美玖先生、お幸せに~」

もしかしたらイマドキの園児は、私よりも恋の事情に詳しいのかもしれない。

恐るべし、保育園児だ。

園から支給されているジャージにエプロン姿。なんとも色気のない格好でお姫様抱っこをされて、車の助手席に押し込められる。

「えっと、徹兄。いろいろと荷持があるんだけど……」

「今日はもう何もいらないから、園長先生に預かってもらえ」

「これからどこに行くの? まだ話すこともあるし服ぐらいは……」

「それもいらない。どうせ脱がせるし」

「脱がせる?」

「あっごめん。こっちの話」

なんか嫌な予感がするんですけど……。

でももう車は動いてしまっていて、徹兄の言うとおりにするしかなさそうだ。
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