ストロベリー・キス

サプライズというぐらいだから、きっと私を何かで驚かすつもりなんだろうけれど、それが何なのか全く予想がつかない。

子どもたちと一緒に歌を歌いながらその時を待っていると、突然部屋の明かりが消えクリスマスツリーだけが輝き始めた。

暗幕が閉めきってある遊戯室の中はツリーのライトや飾りが光輝き、なんとも幻想的な雰囲気が広がっていく。

曲調もスローなクリスマス曲に変わり、子どもたちも自分たちが歌える曲じゃなくなってしまい、一人また一人と床に座りだした。

「美玖先生、前へ」

園長先生に呼ばれて、訳のわからないまま舞台の中央に立たされる。

何? 何が始まろうとしてるの?

握りこぶしを握る手が、緊張で汗をかきはじめる。

ザワザワする気持ちを落ち着かせようと、大きく深呼吸したその時っ!!

「美玖、メリークリスマス」

永瀬のおじさんではないサンタクロースが、遊戯室の入り口から入ってきた。子どもたちも初めて見るサンタクロースに、神妙な面持ちだ。

でも私は『美玖、メリークリスマス』と言った声だけで、そのサンタクロースの正体が誰なのかわかってしまった。

そして舞台の上に上がってきたサンタの、かろうじて見えている目を見てその人が誰なのかを確信した。

「徹兄、どうしてここへ?」

「今日は美玖を驚かせようと思って、園長先生にお願いしたんだ」

「な、何を?」

「美玖のことを好きになったこの場所で、プロポーズさせてほしいって」

「プロポーズ……」

どういうこと? プロポーズって何?

徹兄に説明されても、全く意味が理解できない。


< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop