ストロベリー・キス
それでもなんとか徹兄の横にまで辿り着くと、照れくさくて俯いた。
「園では驚かせて悪かった。どうしても美玖をビックリさせたくてさ。いきなりのプロポーズになってしまった。ごめん」
「もういいよ。確かに驚いたけど、徹兄の気持ちは嬉しかったし」
「でもよく考えて見れば、美玖の言うとおりだよな。俺たちはまだ付き合ってなかった。でもな、俺の中で美玖はもうずっと彼女で、いるのが当たり前の存在になってたんだ」
「だからいきなりプロポーズ?」
「そういうこと」
腰に手を回し私を抱き寄せる。何だかその手の動きが艶かしくて、顔が熱くなる。
もしかして私は今日、いろんなことを経験してしまうんだろうか。
徹兄となら……と思う反面、26歳にもなって初めてな私は、緊張と不安でいっぱいいっぱいだ。
そんな私に気づいたのか、徹兄が腰に回していた手を離すと立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。そして中から取り出したものは……。
「美玖の大好きなイチゴがいっぱいのクリスマスケーキ、用意しておいた」
目の前に置かれたケーキの箱を開けると、大きなイチゴがこれでもかと並べられたクリスマスケーキが顔を出す。
「徹兄、私の大好物忘れてなかったんだ」
「当たり前だろ。美玖のことは美玖以上に知ってるよ」
その言葉、まんざら間違いないじゃない。案外客観的に見てる徹兄のほうが、私のことを知っていそうだ。
だから私がずっと徹兄を好きだという気持ちが、早い段階で徹兄にバレていたのかもしれない。