ストロベリー・キス
「ねぇ徹兄」
「うん?」
「なんでもっと早く気持ちを伝えてくれなかったの? もし私に彼氏ができたら、どうするつもりだった?」
「彼氏いた事あるのかよ?」
「な、ないけど……」
私に彼氏がいたことなんてないって知ってるくせに。
意地悪な質問をする徹兄の手の甲をギュッと抓ると、痛そうに顔をしかめた。
「なんで抓るんだよ」
「意地悪なこと言った罰」
「意地悪って、ホントのことだろ? それに……」
「……?」
それに、なんだって言うのだろう? 徹兄の顔をジッと見つめれば、見る見るうちに顔が赤くなっていく。
もしかして徹兄、照れてる?
手で口元を隠すと、バツの悪そうな顔をしながら話しだした。
「美玖に彼氏ができたって、すぐに奪い返す自信があったからさ」
「なにそれ? 徹兄って、自信過剰だったんだ」
「そうだよ、悪いか? でもこの自信も美玖限定だ。相手が美玖だから、俺は自信を持っていられるんだ」
徹兄の手が、私の頬を包み込む。
「私だから?」
「そう。美玖を愛してるから」
初めての徹兄からの愛の告白に、嬉しすぎて思考が停止。まばたきをするのも息をするのも忘れてしまう。
ずっとずっと待っていた言葉をもらえて、身も心も震えが止まらない。
息が苦しくなってきて肩で大きく息を吸うと、目の前にある徹兄の顔がとろんと笑顔になった。
毎朝いつも見てた、私の大好きな笑顔だ。
この笑顔が見たいから、毎朝頑張って同じ時間に玄関を出ていたんだ。そのことを思い出すと、自然と目に涙が溜まり始めた。