ストロベリー・キス
それにしても、子どもたちの元気には敵わない。どんなに落ち込んでいても子どもたちの無邪気な笑顔を見たら、一気に元気になってしまう。
「美玖先生、今日の予定はバッチリかしら?」
園長先生が近づいてきて、耳元でコッソリ囁いた。
「はい、準備万端だそうです。今年は何か、サプライズもあるみたいですよ」
「じゃあ、私たちも子どもたちと一緒に楽しみましょうね」
永瀬のおじさんのサプライズ。一体何をするつもりなんだろうか。
賑やかなことが大好きなおじさんのこと。きっと子どもたちをびっくりさせてくれるんだろうけど。
楽しみなような、心配なような……。
そしてあっという間に時間は過ぎ、サンタクロースと化した永瀬のおじさんが園舎の裏口から現れた。
「美玖ちゃん、おはよう。どう、今年もいい感じにサンタになってるだろう」
モデルよろしくクルッと回ってその姿を私に見せると、おじさんは得意げな表情を見せた。
確かに初めてサンタとして園に来た六年前に比べたら、サンタ度はアップしている。
おばさん曰く、『仕事よりサンタ』だそうだ。
園としては有難いことだけれど、仕事の方は大丈夫なのかと少し心配になってしまう。
「子どもたちみんな、楽しみにしてるよ。今年もよろしくお願いしますね、おじさん」
「任せとけっ!! 今年はもう一人、新人サンタも登場だしな」
新人サンタ? おじさんの友達でも来るのだろうか。まぁそれも悪くないかも。
なにせ園児の人数は、全部で100人を少し超える。その子どもたちを、おじさんひとりのサンタで相手をするのは、正直大変だと思っていたから。