ひとりの夜

恭一くんは、誠一さんと別れた奥さんの一人息子で、今は中学三年生。
恭一くんのことを、誠一さんはすごく大切にしていて。
世の中の行事はもちろん恭一くんと一緒にっていうのが当たり前で。
初詣もお花見も、GWも夏休みも。紅葉だってもちろんクリスマスだって。
彼を優先させるのが当たり前で、私もそんな誠一さんが好きで。
だから一緒に行きたいなんて言ったこともないし、どうして?なんて聞いたこともない。
それでもこの日だけは。
街中がお祭りムードで過ごすクリスマスは、忌々しい誕生日の所為で遣り切れない思いを抱えていたりしてた。
それでも、私が誠一さんを取っちゃったら、恭一くんは……って考えると、私の遣り切れなさなんてちっぽけなものだと思えていた。
なのに。


「私のトコなんて来ちゃだめですよ」

今も一人ぼっちでいる恭一くんを想うと、こんなとこで裸でなにやってんだいと自分にツッコミいれたくなる。

「早く、帰ってあげてください」

私は顔をみて、おめでとうって言ってもらっただけで充分。
いつものように埋め合わせの食事に連れてってもらえばいいだけだし。
そう言って目一杯の笑顔でにこっと微笑んで見せる、けど。

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