奇跡が降る夜
「どうした? お前大丈夫か?」


スマホを置いてからの私の様子を変に思ったのか、里見さんが声をかけてくれた。


だけど、口を開くと涙がこぼれ落ちそうで、無言で頷き窓の方に顔を向けた。


どうして、見つけてしまったんだろう。


どうして、隣にいるのは私じゃないんだろう。


今年は大丈夫だって思ったのに。


「ぶっ」


突然、顔に何かを押しつけられた。


離してみると、それはマフラーで、


「そんな格好してると風邪ひくぞ」


私が泣きそうになっている事に気づいているのか分からないけれど、何もないフリをしてくれている素っ気ない優しさに甘えるように、そのマフラーに埋もれるようにして少し泣いた。


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