もうひとつの偽聖夜
帰り道。
俺は、ポケットに突っ込まれた8000円の感触に満たされながら歩いていた。
「よし、今日はやおちんも誘って飲みに行くか!」と、スマホを取り出そうともう一方のポケットの手を突っ込むと、なにやら怪しげな感触が伝わってくる。
――あ、コレ……。
それはシュウからの手紙。
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ほんもののサンタさんへ。
ボクはサッカーボールがほしいです。
でもやきゅうもがんばります。
しゅう
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――とんでもないことに巻き込まれちまったな。
つっても、あのシュウのことだ、明日になれば忘れちまってるに違いない。
――でも、クリスマスなあ。
俺にとってのクリスマス。
早熟だった俺は、小学校に上がってすぐに、「サンタなんていない」ってことに気がついていた。
それは、おふくろが、仮面ライダーの区別ができなかったことが原因だった。
その頃やおちんとハマっていた仮面ライダーごっこ。俺とやおちんは、同じように「仮面ライダーアギトの人形が欲しい」と、サンタに手紙を書いた。
だけど、俺に届いたのは、仮面ライダークウガ。
アギトの前のヒーローだった。
――サンタさんも、知らなかったのかな。
アギトとクウガ。
おふくろは、いつも「区別がつかない」と笑っていたから。
幼いなりに、そう思うことで気を沈めていた俺は、次の日、やおちんにはしっかりアギトの人形が届いたということを知った。