夏月一会


二年後……慶一が二十七歳の時。

慶一は、人生で初めてとも言える、最愛の人物と出会った。


それが、遥だった。


遥は、松本家と交流がある良家の三女だった。
それで知識、教養のある、優れた女性で、何よりも、端整な容姿をしていた。

初めて遥を見た時、慶一はそれに目を奪われ、惹かれていった。

そして何度か交流を重ねるうちに、遥の方も、慶一の隠れた優しさや誠実さに惹かれていく。

二人が親密になるのには、そう時間はかからなかった。



そして、二人は結婚した。

先代は最初、二人の結婚にいい顔をしなかった。


遥は、確かに先代の理想通りの人材だ。しかし、身体が弱かった。

先代の先妻も、身体が弱かったということもあり、また同じようなことが起きるのではないか、彼女には、この家の伴侶となるには、荷が重すぎるのではないか…それを危惧していた。


しかし、二人が強く結婚を望んだため、浩司の時のような二の舞を演ずることになっては元も子もない。

先代は二人の結婚を認めた。



これで、全ては丸く収まると思われた。


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