婚カチュ。


「25歳かあ。若いなあ。でもアリっちゃアリだよね。青年実業家なんてすごいじゃん」


わたしも希和子も大学を卒業して以来7年間、組織に属する生活を送ってきた。

尊敬できない上司がいたり、仕事ができない同僚がいたり、それはそれで大変だけど、事業を起こすということのほうがずっと途方もないことに思える。

企業に就職するというのはある意味で長いものに巻かれるということだ。自分で会社を変えることはできなくても、ある程度安定した生活は保障されている。


「事業って、うまくいってるうちはいいけど、ダメになったら恐そう」
 

わたしがつぶやくと、希和子はあきれたように笑った。


「そんなの、うちの会社だって同じだよぉ。経営が悪化すればリストラするか、強引な人事異動で依願退職を募ると思うよ」
 

固まるわたしに銀杏串を差し出して、彼女は愛らしい唇をすぼめた。


「そうなったらあたしたちはビクビク首を切られるのを待つしかできないけど、実業家は自分で経営状況を打開していけそうじゃない? もちろん能力がなきゃダメなんだろうけどさ」
 
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