婚カチュ。


テーブル席がすべて埋まってるとはいえ、きらびやかな女社長がカウンター席に座っている姿はなんだか不思議な光景だった。
 

席は離れているけれど、目を向ければ否応なしにふたりの様子がうかがえる。
希和子は広瀬さんたちを見やり、うっとりとつぶやいた。



「なにあれ、すごい美男美女。同じ種類って感じ。並んでると絵になるね」

「あのふたり、付き合ってるんだって」
 

わたしの言葉に希和子が固まった。


「えええっ!」
 

店内にとどろくような声をあげる彼女の口を、みたび押さえる。
桜田さんがこちらを見たけれど、わたしがちいさく会釈をするとそれに答えてすぐに向き直った。


「な、なに言ってんのシイちゃん。だって桜田さんは」
 

言いかけて、彼女は言葉を切った。

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