婚カチュ。


「えっと……あれ、け、結婚してないんだっけ」

「うん。独身だって」
 

希和子と一緒に横目で確認したものの、桜田さんの細い薬指にはリングがはまっていない。


「でもぉ、あんな若そうな子と……。下手したら大学生に見えるんだけど」

「若いよ。25だもん」
 

そこまで言ってわたしは希和子を振り返った。

頭の回転が速い彼女のことだから、25歳という年齢だけで私の好きな人と結びつけるかもしれない。
そう思ったけれど、彼女は気付いた様子もなく納得がいかないというように唇を尖らせていた。
 



視界の端に広瀬さんの優美な顔面を映しながら、わたしは希和子との会話を再開させた。
話題は彼女の夫婦喧嘩や家族関係のいざこざについてだ。


「もうね、ヒデのやつ全然家事手伝ってくれないんだよ! 共働きなのにさあ、あたしが仕事で遅くなってもわざわざ待ってるの。だったら作ってよって感じじゃない」
 

幸福な愚痴を聞きながら、わたしの意識は自然とフェリースのふたりに引き寄せられる。
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