婚カチュ。


「紫衣ちゃん、あなたってどうしてそんなにおもしろいのかしら。想像しただけで笑いが止まらないのよ。わたしもその場にいたかったわぁ」
 

ケラケラと笑う桜田さんは、どうやら見た目以上に酔いがまわっているらしい。


「お見合い合コンのときの話ですよ」
 

あっけにとられているわたしに、広瀬さんが説明してくれる。


「あなたのウーロン茶ぶっかけ事件が相当お気に入りみたいです」

「もう本当に大好き、紫衣ちゃん」
 

突然抱きつかれて、身動きが取れなくなる。
甘いローズの香りに包まれながら、わたしは「大丈夫ですか」と桜田さんの背中を撫でた。


「大丈夫よぉ! ねー智也くんも紫衣ちゃんのことおもしろいって言ってたわよね」
 

わたしを解放すると、桜田さんは反対側に身を寄せた。
広瀬さんの肩にもたれかかり、とろんとした目で彼を見つめる。

わたしは悲鳴をあげそうになった。

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