婚カチュ。
「来たみたい。それじゃ、またね希和子」
「うん、らぶらぶファイトー」
「なにそれ」
妙な掛け声を送られて苦笑しながら、わたしは広瀬さんの車に乗りこんだ。
車に詳しくないわたしだけれど、丸い輪が4つ連なったエンブレムは見たことがある。
ドイツの車だ。
それはスポーツタイプでドアが2つしかなく、そのわりに車体は丸みを帯びたかわいいデザインだった。
助手席に滑り込むと、彼が肉の薄い顔をほころばせる。
「ごめん、遅くなった」
「ううん、で、どこ行くの?」
シートベルトを締めながら尋ねると、広瀬さんはいたずらっぽく笑った。
「着いてからのお楽しみ」