婚カチュ。


「来たみたい。それじゃ、またね希和子」

「うん、らぶらぶファイトー」

「なにそれ」
 

妙な掛け声を送られて苦笑しながら、わたしは広瀬さんの車に乗りこんだ。



車に詳しくないわたしだけれど、丸い輪が4つ連なったエンブレムは見たことがある。
ドイツの車だ。
それはスポーツタイプでドアが2つしかなく、そのわりに車体は丸みを帯びたかわいいデザインだった。


助手席に滑り込むと、彼が肉の薄い顔をほころばせる。


「ごめん、遅くなった」

「ううん、で、どこ行くの?」
 

シートベルトを締めながら尋ねると、広瀬さんはいたずらっぽく笑った。


「着いてからのお楽しみ」



< 254 / 260 >

この作品をシェア

pagetop